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2段落としについて、他 に対しての回答

KIさんからのお問い合わせに応えて

 メールの往復より・・・
 お便り(メール)を頂いた方の了解を得まして、皆様のご参考の為に紹介致します。


お名前         K.Iさん
メールアドレス     ******@*****.ne.jp
性別          男性

はじめて訪問させていただきました。
そこで質問があるのですが、エンジンブレーキを使うときに「安全の為に、1度に2段落とすのだけは止めて欲しい。」と書いてありましたが、よくないのでしょうか?
5速で70キロくらいで走行しているときに3速に落としたら回転数が(たしか)3500rpmくらいになりました。
エンジンのレッドゾーンに入っているわけでもなく、後続車もいない場合は一気に2段落としても大丈夫じゃないのでしょうか?
まぁ、それで安全性に関して問題がなかったとしても、やはりミッションそのものにはよくないのでしょうか。
さすがに100キロ以上出しているときにいきなり3速に落とそうとは思いませんが、比較的普通の速度のときはだめなのでしょうか?
また、本文中に「慣れない方には一気に2段落とす事を推奨しない理由が、ここにあります。」と書いてありましたが、慣れている人はいいのですか?

あともうひとつ質問があります。
僕はダブルクラッチの事を知らなかったので、シフトダウンするときに減速のショックを減らすためにクラッチをゆっくり戻していましたが、本文中に書いてあった「クラッチの繋がる「境目」付近で、ゆっくりとペダルを戻すと、よりスムーズに変速出来る。
しかし、へたにやればクラッチ盤を多くすり減らす事になる。」をやっていたのではないかと思います。
やっぱりクラッチ板にはよくないのでしょうか。上手にやるにはやっぱりダブルクラッチしかないのでしょうか。
(以下、省略)


ここからが回答文です。

【1度に2段落とすのだけは・・・】

「安全の為に、1度に2段落とすのだけは止めて欲しい。」と書いてありましたが、・・・。

・レッドゾーンに入るわけでも無い
・後続車もいない
だったら、確かに1度に2段落としても良さそうですね。
それで正解です。

しかし、「あっ、エンジンブレーキか− いい事みーつけたっ」と、安易にやってしまう方もおられますので、牽制の意味で2段は止めてと書いています。
事実、2速から1速に落としてエンジンブレーキをかけようとしていた方もおられますし、どうして走行中に1速には入らないの?と言う方もおられましたので。
多分、これを読んだら「???」と思ってしまいませんか。
でも、ご当人にとっては、笑い事では無かった筈ですね。
つまり、不特定多数の方が読まれる事を前提に書いていますので、ある程度理解されている方から見れば、「そうとは限らないだろう?」が出てくる事は仕方が無いかな、と思っています。
あまり自己流の解釈をされてしまわないように心がけています。

私の場合ですが、マニュアル車のみを乗り継いで26年になりますが、やはり1度に2段落とす事はやっていません。(現在は)
2段落としが習慣にならないようにしています。
余裕を持って早めに1段落としておくようにしています。
とっさの場合に、オーバーレブさせてしまう事が無いようにと言う事と、ミッションをいたわる為です。
また、2段落としは、シフト・ミスを犯しやすくなります。
シフト・レバーの位置を、例えば1/3/5速の間で、誤操作を引き起こしやすくなります。
シフト・ミスは危険です。
ニュートラル・ポジションを挟んで反対側にシフト・ノブを動かす事が安全・確実であると思いますし、総ての車が(?)その様に造られているのでは無いでしょうか。
私のポリシーとしまして、安全や確実を前面に出していますが、スポーツ走行で2段落としをされる事自体を決して否定するものでは有りません。
実は、昔は、2段落としがテクニックの一部であると考えて、いつもやっていました。
でも、ホームページ上で、そそのかす様な事は書かないようにしています。

今では、安全の為に殆どの車にエアバッグが装着されていますが、昔はその様なご丁寧な装置は当然有りませんでした。
衝突が避けられないと判断した瞬間、命を守るためにサイドブレーキを引いてスピンさせ、テールを前にして背もたれで衝撃を吸収させながらぶつかる事が究極のテクニックで有ると考えています。
だけど、ヘタをすれば横向きで運転席側から衝突しかねません。
スピンターンを、遊びで、カッコ付けでやる事もありますよね。
しかし、スピンターンの勧め、など到底書けませんから。


【慣れている人はいいのですか?】

慣れている人は、問題無いでしょう。
但し、「慣れ」の範囲をどこまで考えるかがポイントです。
経験を積んだだけ・・・ですと、ちと問題では有る思います。

貴方からの「質問が来てしまった!」と、実は頭をポリポリ掻いているような状況にあります。
1点、ホームページ上に詳しく書いていない事がありまして、それをUPしていれば良かったのにと、反省しているところです。
(出来ていない理由(言い訳)は有るのですが・・・)

それは、「シンクロ」と言う機構がギアチェンジの際には非常に重要な働きをしていまして、これ無くしてはギアチェンジは出来ないと言っても過言では有りません。
荒っぽい運転を繰り返していれば、このシンクロの破損に至る場合もあります。
ギアが噛み合わないとか、ギアが抜けてしまうなどの障害が予測されます。
クラッチを滑らせながらミートさせる事は良いのですが、誰もミッションのエンジン側と車輪側の回転数が全く同一になったかどうかを見ることは出来ません。
ギアとギアを噛み合わせる為に、回転数をピッタリ同じにする事など出来ません。
クラッチを滑らせると言うことは、回転数の差を出来るだけ吸収してしまおう、と言う事になるのですが、所詮は成り行きでミートさせていますよね。
真に、ギアを噛み合わせる為に働いているのが「シンクロ」なのです。
ギアとギアを、強制的に回転数を同期(シンクロナイズド)させて噛み合わせてくれるのです。
回転数の差が大きいまま、無理にギアチェンジを行えば「シンクロ」に負担がかかってしまうと言う事の認識が大切です。


シンクロ図解


ギアチェンジとは、歯車相互を噛み合わせたり外したりする操作です。
シャフトが回転していれば、一方のギアから他方のギアに対して動力を伝達しています。
1t(1,000kg)以上もの車体を高速で動かす力です。
噛み合いや離脱を軽く行うために、クラッチで負荷(車輪側)を切り離します。

かなり大胆な省略の仕方になってしまっていますが、原理を簡単に現しているだけ、と解釈して下さい。
ギア同士を同じ回転数にして、キチッと噛み合わせるのにシンクロが作用しています。

 (注)言葉の上で、言いやすいように「シンクロ」と言っていますが、正式には
     synchromesh(シンクロメッシュ)です。
     ちなみに、meshとは「網の目」以外に「複雑な機構」と言う意味があります。


【シフトダウンするときに...】

シフトダウンするときに減速のショックを減らすためにクラッチをゆっくり戻していました。

そのこと自体は誤りでは有りませんが、いつまでもクラッチのつながる境目付近の状態が続けばクラッチ盤の磨耗が早くなりますので、気をつけた方が良いとは思います。
気持ち、早めにクラッチを戻してみて、変速ショックがどの程度になるかを確認するのも良いかと思います。
また、余り時間をかけてミートさせようとすれば、ダブルクラッチで煽ったエンジンの回転が落ちてしまい、ダブルクラッチの効果が無くなります。


【上手にやるには...】

上手にやるにはやっぱりダブルクラッチしかないのでしょうか。

マニュアル車の運転の基本は、ダブルクラッチに有ります。
車にも、人にも優しい運転方法です。
しかし、前述の「シンクロ」機構が付いていますので、難しいことをやらなくても運転そのものは出来てしまいます。
「自動車学校」では、「シンクロ」も「ダブルクラッチ」も「エンジンブレーキ」も、運転の基本だとは認めていません。(多分)
メカから、原理から説明する事になれば大変ですし、理解出来ない人を増やしてしまったり、操作で混乱すればかえって危険だからでは無いでしょうか。
車を次々に買い換える趣味の有る方は、面倒な事は考えなくても良いでしょう。
年間走行距離も短いのですが、私の様にブレーキパッドもクラッチディスクも全く交換しないで12年間乗り続けるスタイルもあります。
その代わり、足元のフロアマットには大きな穴が空いて、シャーシの塗装も見事に剥げてピカピカに輝いていますが。

結論としましては、ダブルクラッチを趣味として、あるいは楽しみとしてマスターされれば良いのでは無いかと考えます。
本当のところ、どうしてもやらなければならない性格の運転技術では有りません。
マニュアル車自体が、今では趣味やこだわりの世界の生き物だと思います。
(その様に申し上げれば、マニアの方からまた反論を呼びそうですね)
オートマの方が楽ですから。


私は揺れています。

私は、1年以内に新車に替えるかも知れませんが、「絶対」にマニュアル車か?
さぁ、困った。(内緒です)
ホームページは、どこまでも存続させますけれど・・・・・

長い間お読み頂きましてお疲れさまでした。
(長文は、いつものパターンです)